アニメ第3期が10月にスタートし、さらに芦田愛菜さん主演での実写ドラマ化も発表された『薬屋のひとりごと』。今、改めて作品を見返している方も多いと思います。
観ていると気になるのが、「この後宮って、中国のどの時代がモデルなの?」「茘(リー)という国は実在したの?」という疑問です。
実はこの答え、原作者の日向夏さん自身がはっきり語っています。この記事では、作者の発言をもとに時代背景のモデルを整理し、史実との共通点や、猫猫・壬氏の意外な誕生秘話まで紹介します。
※当サイトの信憑性ラベル:「公式確定」は原作者の発言などで明示されているもの、「史実」は歴史として確認できるもの、「考察」は根拠はあるものの推測の段階のものです。
この記事の結論
- 「茘」は実在しない架空の国(公式確定)
- モデルは唐の時代、特に楊貴妃の頃(公式確定)
- 文化は16世紀ごろ、科学知識は19世紀ごろまでを使う設定(公式確定)
- 猫猫のモデルは「ハブの血清を作るおじさん」(公式確定)
薬屋のひとりごとの「茘」は実在する国?
いいえ、実在しません。茘は作者が作り上げた架空の国です。信憑性ラベル:公式確定
日向夏さんは「小説家になろう」の活動報告で、読者からよく聞かれる質問として時代背景をまとめています。そこで、この作品はファンタジーであり、実在の国を舞台にしているわけではないと説明しています。
「転生者は出てこないけれど、ある意味では異世界もの」という位置づけも、作者自身が語っているポイントです。
モデルは唐・楊貴妃の時代
架空の国とはいえ、モデルになった時代ははっきりしています。作者によると、衣装や花街、後宮のイメージは、唐の時代、特に楊貴妃がいた頃が中心です。信憑性ラベル:公式確定
唐は、618年から907年まで中国で栄えた王朝です。日本でいえば、遣唐使が海を渡っていた飛鳥時代から平安時代の前半にあたります。楊貴妃が皇帝・玄宗の貴妃になったのは745年頃のことです。
上級妃の「四つの位」は唐に実在した
作中の後宮には、玉葉妃・梨花妃・里樹妃・阿多妃という4人の上級妃がいます。それぞれの位は、貴妃・賢妃・徳妃・淑妃です。
この4つの位は、唐の後宮に実際にあった妃の位と同じ名前です。唐では、皇后の下に置かれた最上位の妃として、この4つの位が定められていました。信憑性ラベル:史実
架空の国でありながら、後宮の身分制度はしっかり唐をなぞっている。作品の世界にリアリティを感じるのは、こうした土台があるからなのでしょう。
カカオや炎色反応が出てくるのはなぜ?
『薬屋のひとりごと』を観ていて、「唐の時代にこんなものあった?」と引っかかった方もいるかもしれません。
たとえばアニメ第1期では、媚薬としてカカオが出てきたり(第2話)、炎色反応が事件の鍵になったり(第5話)、蜂蜜による乳児ボツリヌス症が描かれたり(第10話)します。カカオは南米原産で、唐代の中国には存在しなかったものです。
これは時代考証のミスではありません。作者は、文化の水準は16世紀ごろ、科学の知識は19世紀ごろまでのものを使うと決めていると明かしています。理由は、そうしないと話のネタがなくなってしまうから。信憑性ラベル:公式確定
「唐の華やかさ」と「近代の科学知識」を組み合わせたからこそ、猫猫の薬学ミステリーが成り立っているわけです。
国名「茘」とライチ、楊貴妃の不思議なつながり
ここからは当サイトの考察です。信憑性ラベル:考察
国名の「茘」という漢字は、果物のライチ(茘枝/荔枝)に使われる字です。そして、ライチといえば楊貴妃。楊貴妃はライチが大好物で、玄宗皇帝は遠い南の産地から早馬を使ってライチを運ばせた、という逸話が残っています。
モデルが楊貴妃の時代であることを考えると、国名にライチの字が選ばれたのは偶然ではないのかもしれません。作者がこの点について語った資料は見つけられなかったので、あくまで一つの読み方として楽しんでください。
猫猫のモデルは「ハブの血清を作るおじさん」
毒と薬にしか興味がなく、自分の体で毒を試してしまう猫猫。このちょっと変わった主人公には、意外なモデルがいました。信憑性ラベル:公式確定
日向夏さんはMANTANWEBのインタビュー(2025年6月)で、猫猫にモデルがいるとすれば、ハブの毒を自ら摂取して血清を作っているおじさんだ、と答えています。
後宮を舞台にした美しい物語の主人公のモデルが、まさかのおじさん。けれど、毒を前にすると目が輝く猫猫の姿を思い浮かべると、妙に納得してしまいます。
最初の構想は「鉱山の町の子持ち女性」だった
同じインタビューでは、作品の出発点も語られています。もともと頭にあったのは、鉱山の町に住む3人の子どもを持つ女性が、毒で亡くなった人を見つけるミステリーだったそうです。信憑性ラベル:公式確定
投稿サイトの読者層を考えて主人公を10代にし、若い主人公でも事件を解けるように薬の知識を持たせ、地味な鉱山の町から華やかな後宮へ舞台を移した。そうやって今の形になったといいます。
作者自身、猫猫にはおばさんのような図太さが残っていると話しています。猫猫が妙に肝がすわっているのは、この「3人の子の母」という原点があるからなのかもしれません。
壬氏は「殺される予定」だった
作品の人気を支える美形の宦官・壬氏。実は、途中で物語から退場させる予定のキャラクターでした。信憑性ラベル:公式確定
作者によると、後宮は女性ばかりなので、見た目の美しい男性も入れておこうと考えて生まれたのが壬氏でした。当初は、壬氏にまつわる事件が解決したら退場させるつもりだったそうです。
ところが、書籍化が決まる前の投稿の段階で人気が出てしまい、殺せなくなった。作者はそんな裏話を明かしています。読者の応援がなければ、猫猫と壬氏のもどかしい関係も見られなかったわけです。
第3期と実写ドラマの前に押さえておきたいこと
10月から始まるアニメ第3期では、新キャラクターの白娘々(パイニャンニャン)も登場します。また、芦田愛菜さん主演での実写ドラマ化も発表され、猫猫のビジュアルが公開されると「ぴったり」という声が多く集まりました。
実写になると、後宮の衣装や建物がどう再現されるのかも気になるところです。「モデルは唐の楊貴妃の時代」という前提を知っておくと、衣装のデザインや花街の描き方を見る目が変わってくるはずです。
よくある質問
薬屋のひとりごとは実話ですか?
いいえ、実話ではありません。舞台の茘は架空の国で、作者はファンタジー作品だと説明しています。ただし、時代背景は唐の時代をモデルにしています。
薬屋のひとりごとの時代は日本でいうと何時代ですか?
モデルになった唐(618〜907年)は、日本の飛鳥時代から平安時代の前半にあたります。楊貴妃がいた8世紀半ばは奈良時代です。ただし作中の文化は16世紀ごろ、科学知識は19世紀ごろまでが使われています。
猫猫にモデルはいますか?
作者はインタビューで、モデルがいるとすればハブの毒を摂取して血清を作っているおじさんだと答えています。
壬氏は最初から主要キャラの予定でしたか?
いいえ。作者によると、壬氏の事件が解決したら退場させる予定でしたが、投稿時に人気が出たため生き残ったそうです。
まとめ
- 茘:実在しない架空の国(公式確定)
- モデルの時代:唐、特に楊貴妃の頃(公式確定)
- 上級妃の四つの位:唐に実在した妃の位と同じ(史実)
- カカオなどが出る理由:科学知識は19世紀ごろまで使う設定(公式確定)
- 国名とライチ:楊貴妃の好物とのつながりが考えられる(考察)
- 猫猫のモデル:ハブの血清を作るおじさん(公式確定)
- 壬氏:本来は退場する予定だった(公式確定)
史実をなぞりながら、あえて時代を飛び越える。その自由さこそが『薬屋のひとりごと』の面白さです。第3期や実写ドラマを観る前に、ぜひ作品の土台になった唐の世界にも思いを馳せてみてください。

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