日本が世界に誇る伝説的アクション漫画の金字塔『ドラゴンボール』。
連載開始から数十年が経過した現在も、世代や国境を超えて世界中で絶大な人気を誇る作品ですが、登場するキャラクターたちのネーミングや世界観の裏側には、原作者・鳥山明先生による**遊び心に満ちた斬新なネーミングルールや、古典文学をベースにした緻密な裏設定**が隠されているのをご存知でしょうか?
筆者も子供の頃は純粋なバトル漫画として夢中で読んでいたのですが、大人になってから名前の由来や設定の元ネタを知ったときは、「そんな隠された法則があったのか!」と思わず膝を打った記憶があります。
今回は、『ドラゴンボール』にまつわる有名な裏設定、キャラクター名の命名法則、そして物語のベースとなった古典作品との関係性について徹底的に解剖・解説していきます!
戦闘民族サイヤ人の名前に隠された「野菜」の法則
作中で圧倒的な強さと存在感を放つ戦闘民族「サイヤ人」。主人公の孫悟空(カカロット)をはじめ、ベジータ、ナッパ、ラディッツといったキャラクターたちの名前には、実は「野菜(やさい)」にちなんだ統一された命名ルールが存在します。
そもそも「サイヤ人」という種族名自体が、「ヤサイ(野菜)」のアナグラム(言葉遊び)になっているという有名な裏設定があります。
主要サイヤ人たちの名前の由来一覧
サイヤ人たちの本名を紐解いていくと、見事なまでにすべて野菜の名前から取られていることが分かります。
- カカロット(孫悟空):キャロット(Carrot=人参)
- ベジータ:ベジタブル(Vegetable=野菜そのもの)
- ナッパ:菜っ葉(葉物野菜)
- ラディッツ:ラディッシュ(Radish=二十日大根)
- ブロリー:ブロッコリー(Broccoli)
- キャベ:キャベツ(Cabbage)
- カリフラ:カリフラワー(Cauliflower)
- ケール:ケール(Kale)
- バーダック(悟空の父):バーダック(Burdock=牛蒡/ゴボウ)
サイヤ人の王子である「ベジータ」が、野菜(ベジタブル)そのものの名前を冠している点も、彼が種族の頂点に立つ存在であることを象徴する鳥山先生ならではの粋な演出と言えます。
宇宙の帝王フリーザ一族は「冷やすもの」がテーマ
サイヤ人たちが「野菜」で統一されているのに対し、彼らを従え、絶望的な強さで絶望に陥れた宇宙の帝王フリーザとその一族には、「冷やすもの・低温」にまつわる共通のテーマが与えられています。
フリーザ一族と部下たちの冷酷な命名ルール
フリーザ一族の名前は、一聴すると格好良い響きを持っていますが、元ネタを知ると非常にコミカルで親しみやすい言葉から付けられていることが分かります。
- フリーザ:フリーザー(Freezer=冷凍庫)
- コルド大王(フリーザの父):コールド(Cold=冷たい)
- クウラ(フリーザの兄):クーラー(Cooler=冷やす人・冷房機)※名古屋弁の「冷やす=くうらんか」も掛かっているとされる
- チルド(祖先):チルド(Chilled=冷やされた)
「野菜(サイヤ人)」を保存・支配するのが「冷凍庫(フリーザ)」であるという構造は、作中におけるサイヤ人とフリーザ一族の主従・敵対関係を見事に暗示しています。
ちなみに、フリーザの部下である「ギニュー特戦隊」のメンバーたちは「乳製品」(ギニュー=牛乳、リクーム=クリーム、バータ=バター、ジース=チーズ、グルド=ヨーグルト)から命名されており、一族や組織ごとにグループ分けされたテーマが存在するのです。
主人公・孫悟空のモデルとなった中国古典『西遊記』
『ドラゴンボール』の物語の原点であり、初期の冒険活劇としての骨格を形作ったのが、中国の四大奇書の一つとして知られる古典小説『西遊記』です。
『西遊記』から継承されたモチーフとアイテム
連載初期の『ドラゴンボール』は、ブルマと孫悟空が世界中に散らばるドラゴンボールを探して旅をする冒険ファンタジーとしてスタートしました。
作中に登場する要素の多くは、直接『西遊記』へのオマージュとなっています。
- 孫悟空:主人公の名前そのもの。猿の尻尾が生えている設定も『西遊記』の美闘勝仏(美猴王)が元ネタ。
- 如意棒(にょいぼう):自在に伸び縮みする悟空の武器。『西遊記』で孫悟空が愛用する「如意金箍棒」がモデル。
- 筋斗雲(きんとうん):清い心を持った者だけが乗れる空飛ぶ雲。『西遊記』の孫悟空が使う飛行術「筋斗雲」から。
- ウーロン&ヤムチャ:ウーロンは『西遊記』の「猪八戒(チョハッカイ)」、ヤムチャは「沙悟浄(サゴジョウ)」の役割がベース。
- 牛魔王&チチ:『西遊記』に登場する強力な魔王「牛魔王」とその娘「鉄扇公主」がモデル。
古代中国の神話・冒険譚をベースにしながら、そこに最先端のSF要素や近未来のメカニック(カプセルコーポレーションのホイポイカプセルなど)を融合させたことこそが、『ドラゴンボール』を唯一無二の作品へと進化させた最大の勝因でした。
なぜドラゴンボールは「7つ」なのか?数字に込められた謎
物語のタイトルであり、集めることでどんな願いも一つ(後に三つ)叶えてくれる秘宝「ドラゴンボール」。
なぜ「10個」や「3個」ではなく、「7つ」という数字に設定されたのでしょうか?
1. 江戸時代の伝奇小説『南総里見八犬伝』からの着想
鳥山明先生が過去のインタビュー等で明かしている有名なエピソードとして、江戸時代後期の超長編伝奇小説『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』の影響があります。
『南総里見八犬伝』は、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の文字が浮かび上がる「8つの霊玉」を持った8人の剣士(八犬士)が集い、運命と戦う物語です。
鳥山先生はこの「玉を集める」という設定にインスピレーションを受けつつ、「8個だと多いから、1つ減らして7個にしよう」という直感的な理由から「7つのドラゴンボール」という設定を生み出したとされています。
2. 文化的な「7」という数字の神聖さ
また、東洋・西洋を問わず、「7」という数字は古くから特別な意味を持つ神聖な数字として親しまれてきました。
- 天体・天文学:北斗七星、一週間の7日
- オリエント・西洋文化:創世記の7日間、ラッキーセブン
- 仏教・東洋文化:初七日、七福神
直感的な発想からスタートしながらも、人類が歴史的に親しんできた「7」という数字の持つ神秘性が、作品の「願いが叶う奇跡の玉」という世界観に見事に合致したと言えます。
主要キャラクターのネーミングルール・元ネタ一覧表
今回紹介した『ドラゴンボール』のキャラクター名や設定の元ネタを、分かりやすく分類してまとめました。
| グループ・キャラクター | 命名のテーマ・元ネタ | 具体的な例・補足解説 |
|---|---|---|
| サイヤ人一族 | 野菜(ヤサイのアナグラム) | カカロット(キャロット)、ベジータ(ベジタブル)、ラディッツ(ラディッシュ)など。 |
| フリーザ一族 | 冷やすもの・低温 | フリーザ(冷凍庫)、コルド(冷たい)、クウラ(クーラー)。野菜を保管する存在。 |
| ブルマ一家(ブリーフ派) | 下着・衣類 | ブルマ(ブルマー)、ブリーフ博士、トランクス(トランクス)、タイツ(タイツ)。 |
| ピッコロ大魔王一族 | 楽器 | ピッコロ(木管楽器)、タンバリン、シンバル、ドラム、ピアノ。 |
| 初期のメインストーリー | 『西遊記』&『南総里見八犬伝』 | 孫悟空、如意棒、筋斗雲のモデル。7つの玉集めは『八犬伝』の8つの玉が着想。 |
まとめ:法則を知ると『ドラゴンボール』は10倍面白くなる!
世界中のファンを魅了し続ける『ドラゴンボール』ですが、その根底には鳥山明先生の圧倒的なアイデアセンスと、古典文学に対する柔軟なオマージュが息づいています。
サイヤ人とフリーザの「野菜と冷凍庫」という対比構造や、一族ごとにグループ分けされたユニークなネーミングルールを知った上で漫画を読み返すと、何気ない登場人物たちの会話や世界観の広がりに新たな発見があり、作品をより深く楽しめるはずです。
ぜひ気になったキャラクターの名前や元ネタを調べながら、今一度『ドラゴンボール』の素晴らしい世界を冒険してみてはいかがでしょうか!

コメント